AMSEA2017|「TOTALTOPIA」展
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風間サチコ《黒い花電車 僕の代》(2015年、リノカット) |
いま、世界各国で国家の枠組みの再強化や極右勢力の台頭、特定層の排除などがみられる。日本では特定秘密保護法、安全保障関連法、テロ等準備罪が成立し、憲法改正が行われようとしている。
これらはかつての歴史を繰り返そうとするものなのか。ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』やジョージ・オーウェルの『1984』への関心の高まりは何を意味するのか。
問いは続く。
個が “全体” に呑まれるとき、それは自ら進んでなのか。気付かぬままに呑まれるのか。それとも、そうした状況に気付き、抵抗するのか。
問いは続く。
“TOTALTOPIA” という言葉が境界付ける空間で生じるのは、”全体” に対する憧憬か諦念か、それとも抵抗か。
問いは続く。
芸術の自由と無責任はどこまで共有されるのか。
問いは続く。
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Flyer PDF file:download https://goo.gl/5ZS7iub |
「TOTALTOPIA」展
会期|2018年2月10日(土)〜12日(月)
時間|13:00〜20:00
会場|TAV GALLERY http://tavgallery.com
(〒166-0001 東京都杉並区阿佐谷北1丁目31−2)
MAP|https://goo.gl/maps/dqhnii2BN4v
レセプション|2018年2月11日(日)(建国記念日)18:00〜20:00
入場無料
展示作家|
大木裕之/Hiroyuki Oki(1964年生まれ)アーティスト兼建築家
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大木裕之《松前君のまんじまんじゅのための映画》(2014年,5min,ビデオ,©Hiroyuki Oki, Courtesy of URANO)
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『超全体主義的性交』(2000年制作、52分)は、大木が「部屋」と呼ぶ1本40秒の映像を8×8=64本組み合わせた映像の構築物である。"権力"とは一部の者を指すのではなく、誰もが誰かに対して権力をふるうものであり、全体主義的性向を持つと言えるだろうか。本作では、それぞれの「部屋」における芸術家や被写体、撮影者に働く権力的な力学を垣間見ることができる。また、"全体"を想定した上での「部屋」と「部屋」の管理的な調整と、そうした枠組みを打ち破るかのような生/性の運動が提示される。本展では、建築家としての一面を生かし、誰もが成り得る「権力の犬」や誰に対しても成り得る「権力の番犬」を意識し、犬小屋の制作も試みる。
風間サチコ/Sachiko Kazama(1972年生まれ)
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風間サチコ《人外交差点》(2013年 木版画,©Sachiko Kazama,Courtesy of Mori Art Museum) |
本展では、戦時中の1940年に開かれた紀元二千六百年記念行事(神国日本という国体観念のもと、神話上の初代天皇・神武天皇の即位を記念した大規模行事)を参照した作品『黒い花電車 僕の代』(2015年制作、リノカット)を展示する。
潘逸舟/Ishu Han(1987年生まれ)
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潘逸舟《ぬりえ》(2017年,布の裏面にアクリル,Courtesy of URANO,Photo by Fuyumi Murata) |
本展では共同体の存在と向き合う新作を展示する。
布施琳太郎/Rintaro Fuse(1994年生まれ)
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布施琳太郎《存在の生成と消滅のparallax》(2017年 インスタレーション) |
本展では映像を中心としたアッサンブラージュを制作する。世界大戦時のとある私企業の振る舞いを起点として「国家と個人」の関係性について言及する中で、時代とともに揺らぎながら変化するそれぞれのアウトラインを描出する。
山田周平/Shuhei Yamada(1974 年生まれ)
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山田周平《OCCUPY》(2012年 Inkjet print, wood,) |
『明るい』(2017年制作、LED)は、明るい光で「明るい」と自ら表明し、それ以外の多様性を排除する閉じた自己完結性を有する。小説『1984』のニュースピークの人工性と簡潔性を彷彿とさせるこの光が照らし出すのは、全体主義的社会や管理社会が掲げる白々しい希望か、その裏返しとしての茫漠とした不安か。あるいは自らの成功/性向を称揚するスローガンか。また、共同体について言及する新作を発表する。
和田昌宏/Masahiro Wada(1977年、東京)
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和田昌宏、2014年 横浜トリエンナーレでの展示風景
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本展の 『SARU/KANI (寝言) 』(2015年、20分)では、川の字になって平和そうに寝ている家族3人の映像とともに、「平和安全法制」閣議決定後の安倍晋三内閣総理大臣による記者会見の言葉を寝言のように響かせ、家族と国家という2つの共同体を映し出す。
※本展は、「AMSEA(東京大学情報学環:社会を指向する芸術のためのアートマネジメント育成事業)」の実践プログラムの一環として開催いたします。
企画|島林秀行、鷹野 健 (2017年度ASMSEA・コース受講生)
主催|AMSEA(東京大学情報学環:社会を指向する芸術のためのアートマネジメント育成事業)
協力|URANO、無人島プロダクション、AISHO MIURA
平成29年度 文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」
問い合わせ|AMSEA事務局(東京大学大学院情報学環北田研究室住所:〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1)
メール:amseaut@gmail.com